| 遡ること5ヶ月前の6月6日、私は緊張して東武鉄道本社に一人の取締役部長を訪ねた。長い間に亘るビジネスの御礼と東上線の“座席指定特急”導入の可能性について聞くのが目的であった。久しぶりに訪問した東武の本社は歴史を感じさせるあたかも官庁を思わせるような古びた佇まいであるのは以前と同じ。受付で身分を告げると感じのいい女性は待っていたかのように内線電話をし、直ぐに長身の次代の東武鉄道を背負うとおぼしき課長が現れ、役員席へとエスコートしてくれたのである。株主であり、前もってアポを取っているとは云え、私はまずこの対応に驚いたのであった・・・。
初めてお会いした取締役部長は私とほぼ同年輩で東武鉄道の役員に相応しい落ち着きと貫禄を備えているように感じられた。人との出会いは第一印象と言うが、このような人物なら自分の思いの丈をぶつけてもぶつけ甲斐があるなとも思う。
ビジネスの話を済ませた後、本題ともいえる『ひき21』の名詞と東上スペーシア構想の冊子を見せて(既に知っている様子であったが)、『私達は東上線に座席指定特急を走らせて頂きたく活動をしているのですが、実現の可能性はいかがなものでありましょう?』とまずは切り出してみた。すると、予想に反して重役から、『それなら来年には走る予定で進んでますよ!品川から出ている京浜急行のようなスタイルを導入する方向で研究しているようですが・・・』といとも簡単に言われてしまい、私は驚きと嬉しさとで呆気に取られてしまった。
念には念を押して確認をしたものだから、『ただ私は担当部署ではありませんのでここだけの話にして下さい。然るべき時に担当の鉄道事業部のほうから正式発表があると思いますので・・・』とのこと。
私はこの極秘情報に接した時、身に余る光栄と嬉しさで筆舌には尽くし難い気持ちを感じながら有難く丁重に別れの挨拶をして席を後にした。
そして、その後6月28日の株主総会での常務取締役鉄道本部長の“有料特急”導入に向けて研究中と云う発言もあり、あれから5ヶ月目にして今回の正式発表に至ったという経過なのである。
来年6月の新ライナー投入は、我々『ひき21』が進める“東上スペーシア構想”に基づく活動が東武鉄道に通じてそれなりの評価をして頂いたと理解し、東上線沿線住民のより快適な電車通勤・通学の為に東武鉄道が本格的に前向きに取り組み始めてくれたものと確信するものである。3年後にホンダが操業開始となれば又新たな展開が予想されるので、まちおこし政策集団『ひき21』としては、さらに大きな視野で埼玉西部地域の発展のために心ある人たちと一緒に夢と希望と青春のような若さを以って頑張って行かなくてはならないと思っている。
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